半纏とビデオデッキ

　寒い。
　めちゃくちゃ寒い。
　とても寒い。

　焚かないよりは遥かにましなのだろうがストーブを最大火力で焚いても寒い。
　ちゃんちゃんこの綿が薄い。
　だがこの古臭さがいい。
　使い込んだちゃんちゃんこ。
　新しいのも有るが、この古いのが好きだ。

　襟元のタグみたいなものに名前があったから検索したら、紳士用のＬＬサイズが八千円もするちゃんちゃんこ――半纏だった。
　親の代からの半纏だから、親は昔はそんな値段はしなかったという。

　が、物価は逆転している。

　親の時代、ビデオデッキは１０万したと言う。
　だが今なら一万あればお釣りが来る。

　親の時代ちゃんちゃんこは安かったというが、今では我が家の半纏メーカーは半纏世界のブランドになっている。
　ビデオデッキより高い。

　やっと暖かくなってきたらものすごく眠たくなった。

　拍手入れ替えにもう一話書きたかったけど、寝よう。
　寝るしかない。
　寝るんだ！

　明日を思って寝るんだ！
　どうして忙しい火の前日に限って読みたい面白い話が見つかるんだろう。
　筆も進まなければ睡眠も取れない……。